コンデンサ評価・分析

Valuation Analysis

コンデンサ評価・分析

巻取式蒸着機で製造される金属蒸着フィルムは、包装材料の防湿加工や装飾加工の他、フィルムコンデンサの電極材料として広く用いられています。
ここでは、弊社で行っているフィルムコンデンサの試作評価項目、分析例についていくつかの事例を、安全機能(ヒューズパターン)付フィルムコンデンサを中心に公開します。
また、弊社にて蒸着フィルム試作、コンデンサ試作から電気特性評価まで受け付けております。
試作~評価のご依頼はメールにてお問い合わせください。

Ⅰ. フィルムコンデンサの評価

コンデンサの電気特性と試作時の作業性評価は以下の項目で実施しています。

※↓表は左にスクロールできます

  形態・工程 評価項目 詳 細
特 性 フィルム IF検出個数 (絶縁欠陥数) 生フィルム 蒸着フィルム
コンデンサ素子 初期特性 静電容量、tanδ 絶縁抵抗
耐電圧特性 (STEP UP) RT, 105℃, 115℃, 125℃
寿命試験  
作業性 生フィルム フィルム外観 しわ、たるみ、傷、巻硬度、帯電量
スリット スリット加工性 寸法、しわ、たるみ、傷、巻硬度
蒸着 蒸着加工性 膜抵抗、しわ、たるみ、傷、巻硬度
巻取 巻取性 寸法、滑り、しわ、たるみ
成形 成形加工性 つぶれ性、しわ

その他の評価試験についてはお問い合わせください。

Ⅱ. 安全機能(ヒューズパターン蒸着)付フィルムコンデンサ
ヒューズ動作の評価

1.ヒューズパターンの動作原理

一般的なフィルムコンデンサで蒸着膜およびフィルムに貫通孔(絶縁欠陥)がある場合、電圧を印加すると貫通孔を中心に周辺の蒸着膜が飛散し、蒸着膜が瞬時に蒸発、昇華し 絶縁が回復します。
これをセルフヒーリングと呼びます。

ヒューズパターンを蒸着したフィルムコンデンサにおいてパターンで区切られたユニットに絶縁欠陥がある場合、電圧を印加するとユニット内でセルフヒーリングが発生します。と、同時に、抵抗分の大きいヒューズ部の蒸着膜がジュール熱で発熱し切断、コンデンサ機能を維持します。

顕微鏡によるセルフヒーリング痕の観

安全機能付(ヒューズパターン付)コンデンサの構造図

ヒューズパターンの動作説明図

顕微鏡によるヒューズパターンの動作前後の観察

2.蒸着フィルム製造工程における絶縁欠陥部の検査(IF試験)

フィルムコンデンサ製造工程の前段階で、材料となる蒸着フィルム(スリット済リール)の絶縁欠陥を検査する方法として、弊社のIF試験機を推奨しています。
スリットしたリールの単位で、蒸着フィルムに規定のDC電圧を印加しながら一定速度で巻き取ることにより、絶縁欠陥を検出する方法で試験することができます。
これにより、材料の段階で、良品リールと不良品リールを選別することが可能です。

IF試験で検出されたPH(絶縁欠陥)の観察

IF試験機ロール上での絶縁破壊の瞬間写真(ビデオ撮影可)

3.コンデンサ動作不良原因解析

容量が減少し動作不良となったフィルムコンデンサを分解、原因を分析しました。
このコンデンサは、安全機能付(ヒューズパターン付)フィルムコンデンサで異常な電圧(高電圧またはパルス)による絶縁欠陥部から破壊が発生しヒューズパターンが機能し動作不良(容量減少による)となったと考えられます。動作不良にはなりましたが、発煙発火には至っておらず、正常に安全機能(ヒューズ)が動作していました。
蒸着フィルムを巻取り、コンデンサに素子形成し、直流電圧を印加します。この時、蒸着フィルム内に絶縁欠陥があった場合はセルフヒーリングを起こします。蒸着膜は欠陥部を中心に蒸発・昇華しますが、飛散する瞬間のジュール熱により積層方向にも数層~数十層の破壊が伝搬し、破壊が発生したユニット部分のヒューズパターンはすべて機能した、と考察します。
電気特性としては、安全機能付(ヒューズパターン付)コンデンサの電圧(DC)と容量変化の関係をグラフにすると、電圧が高くなると、ヒューズパターンが機能し、容量が減少していきオープン(容量がなくなる)になります。

破壊されたコンデンサ素子の分解観察
(ヒューズパターン有り)

昇圧過程におけるヒューズパターンの有無比較

材料となる生フィルム成膜時に最初から存在していた。②素子形成の過程で、巻取工程でテンションが異常値で巻き芯部が変形しそのままプレスされ絶縁欠陥となった。等が考えられます。
また、層間圧力のバラツキ等によりフィルム層間(マージン部)に、電極引出のためのメタリコン(金属溶射)粒子が入り込んでショートに至る場合も考えられます。

Ⅲ. 蒸着膜の消失原因究明と対策

1.蒸着膜消失事例

高い湿度環境の中にアルミ蒸着フィルムコンデンサを放置した場合、容量が減少する現象が現れる場合があります。
これは、図のように、端面のメタリコン電極から水分が侵入し、アルミ蒸着膜が酸化し、酸化アルミに変化したため、透明膜となって、蒸着膜が消失したように見える現象です。
蒸着膜がどの程度、水分に対して耐力があるかについて、高温高湿負荷試験により、確認することができます。高温高湿負荷試験等の加速試験により確認できます

水の侵入説明図

蒸着膜消失事例

2.メタリコンによる対策

また、水分の侵入を防ぐ対策としては、コンデンサ端面からの水分を入りにくくする方法が考えられます。具体的には、巻取工程においてフィルム層間の隙間を密着させるため、次工程のプレス圧を上げる、蒸着膜表面を樹脂で覆う、などの方法が考えられます。
また、第一の水分の侵入路であるコンデンサ素子端面のメタリコン(金属溶射)について、溶射粒子を細かく緻密にし、水分を通過侵入しにくくする方法が考えられます。これは、溶射するメタリコンガンを弊社推奨のメタリコンガンにすることにより、実現が可能です。

メタリコン粒子比較


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